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「これこそホンマのプロやなぁ」と思った話

あるライターさんに、企業の冊子の編集・文筆をお願いしていました。ライターに作成してもらった構成・編集プランを先方の担当者に提示すると、「私ら素人やから、おたくらプロに全部任せますわ」と。

プラン通りの原稿を完成させて提出すると、先方から「魅力的な文章でない」「引き込まれない」と抽象的な注文が。先方のニーズを明確にするために、担当者と何度も何度もやり取りし明確化に成功。それをもとにプランを立て直し、試行錯誤の末、ライターさんから私のイメージ通りの原稿が上がって来ました。

意気揚々な気持ちで提出すると、「あのライターの文章では、引き込まれないから、他のライターに代えてほしい」という注文が。原稿がひどかったり、こちらの指示と違う原稿だったら、もちろん代えますが、注文通りの原稿で、逆に良すぎるくらいなので代える必要もありません。そこで私は言いました。

130705「あなた方の指示は、あまりにも抽象的過ぎる。私が具体化して、あなた方の同意を得て、それに沿ったものを提出しても二言目には『魅力的でない』。『あなた方の魅力的な文章とは何か』と尋ねれば、『私らはプロ違うから分からん。それはあんたらが考えることやろ!』って。無茶言ってはいけません。ライターには何の問題もありません。たとえライターを代えてもこれ以上の原稿は上がって来ません。問題があるとしたら、弊社の問題です」

そう申し上げたところ、「それでは御社との取引きをやめる」と契約解除。契約書を交わしているので、最低限の料金の回収はできますが、費やした時間と労力を考えればまったく割に合いません。

弊社からはライターさんに僅かな報酬しか支払えません。仕事を遂行できなかったことを、詫びると、「こちらこそ、お客様の満足いただける原稿を提出できなくて申し訳ありません。まったくもって私の力不足です。何より、お客様にライトスタッフの印象を悪くさせたことが心苦しいです。結果的に何も提供していないのにお金を頂くのは忍びない」とおっしゃるんです。このライターさん、先方からかなり屈辱的なことを言われました。いつ心が折れていてもおかしくなかったのに、嫌な顔ひとつ見せず、弊社の指示を黙々とこなしてくれました。

かなりハードで、くやしい仕事でしたけど、このライターのプロ根性を見せていただけたことが何よりも救いですと言うか、私の財産です。こんなプロフェッショナルに囲まれて仕事ができるのは幸せですし、とても心強いです。

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