久々にライター業をして、学んだこと
ご縁があって、この夏よりライター業をさせてもらっています。と言っても自分の好きなテーマを、自分のタイミングで取材執筆できるので、仕事というより趣味感覚(と言ったらご依頼者様に怒られますが)でやっています。もちろん、遊び半分でいう意味でなく、好きなテーマを自分が提案した切り口で書けるので、とても力が入り、やりがいを感じながら取り組んでいます。
もちろん好き勝手に書いているのではなく、書きたいテーマに対して、記事の切り口と展開、落とし所を編集部に提案してOKが出たものだけを取材執筆しています。メディアの役割は、読者にとって有益な情報、興味深い情報を届けることで、筆者の個人的興味のあるテーマや極端に偏った見解はメディアとして発信できません。好き勝手に書きたいのなら、ブログやSNSなどの自分メディアを使うほかありません。
記事を書くに当たって、自分に二つのルールを設けてます。一つは臨場感ある書き方をすること。もう一つは自分にしか書けない内容を盛り込むこと。ともすると、既存の記事をリライトした内容になりかねません。読者にそんな印象を与えないよう、写真は取材時に自分が撮影したものを使うようにし、取材対象(事・人)がすでに他媒体で取り上げられている場合、新たな切り口で、新たな内容を取材対象から引き出し、読者の共感を得られる自分オリジナルの見解を記すよう心がけています。
自分の書いた記事に修正を指示される「抵抗感」
久々にライターとして記事を書いて、痛感したことが二つあります。一つは、自分が書いた記事に修正を入れられることの「抵抗感」。もう一つは多方面の読者を同時に意識しなければならない「煩わしさ」。しかしこの二つがあるからこそ、記事はブラッシュアップされます。
誤った認識や不適切な内容や表現に対して、修正や内容の変更を命じられるのは尤もなことですが、自分の意に反する修正や変更は、記名記事に関わらず思い入れがあればあるほどつらいものです。普段、ライターをコーディネートする立場(ライターソムリエ)で、ライターさんの原稿チェックをすることもあるのですが、安易に修正や変更を指示することもあります。必然性のない自分の主観的な修正指示はできるだけ避け、修正や変更を指示する場合は相手に納得感を持ってもらう説明の必要性を強く感じました。
ダブルスタンダードが記事の質を上げる
二つ目の「多方面の読者」とは、私が携わっている記事の場合、メディア・一般読者・取材対象者の三者です。自分の氏名が入る記名記事ですが、メディア発信の記事として書く以上、世間一般にはそのメディアの記事と見なされると考えます。なので、ライターはメディアの意向を反映しなければなりません。同時に読者の存在も考慮して書く必要があります。メディアは読者にとって有益な情報であることを最優先するので、この二者は基本同じ方向を見ています。メディアの編集担当者とライターとの見解の違いがあるにせよ、大きなかい離はないと考えます。しかし取材対象者はメディアへ露出する場合、PR効果を一番に期待するので、メディア・読者側との大きなかい離は否めません。
広告記事ではないので、取材対象を必要以上に賛美することはありませんし、ニュース記事を広告記事のようなトーンで書けば、読者が離れていくのでメディアとしては避けたいです。メディアの発信するニュースや記事は、外部の何人(なんびと)にも影響を受けないという「編集権」が法律で認められており、その権利を行使し、メディアとしての客観性を示すことで信頼を担保しています。
私の企画する記事の取材対象者は、記事を書くうえで欠くことのできない人物であったり、記事のテーマそのものがその取材対象者であったりする場合がほとんどで、ライターの私にとっては取材協力者であり、良く書くことがあっても悪く書こうはずなどありません。かと言って、取材対象者を賛美する印象の記事は、そのメディアの質を落とすことになり、掲載されることもないでしょう。
このダブルスタンダード、トリプルスタンダードな視点を持つことは、一見八方美人的な面白味のない記事になりそうなものですが、これらの“制限”を突破する工夫を考えることで筆者(ライター)自身の固定観念を突き破ることができ、偏りのない本質的な内容に近づくことを新たに学びました。この学びをライターソムリエでも活かしたいと思います。
【関連ブログ】
仕事の流れ・仕事の全体像をつかんでライティングに挑む
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メディアの性質によってライティングを変える
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コーディネーターからライターソムリエへ
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