編集という概念(その3)
今回は、文字媒体の編集を体感してもらおうと、HP編集を例に挙げて解説します。
皆さんの自社HPの目的は何ですか?
二つに分かれると思います。一つは自社商品やサービスの販売および問い合わせをしてもらうことが目的のHP。もう一つは自社のことをよく知ってもらい、良いイメージを持ってもらうことが目的のHPです。
HPへの問い合わせを増やすためにはSEOやリスティング広告が必要ですが、今回は編集がテーマなのでそれには触れません。
当たり前ですが、アクセスした人が問い合わせしたくなるような中身にする必要があります。まず、問い合わせをして来る人はどんな人であるかというターゲット(主婦、ビジネスパーソン、特定の業者etc)を絞り込み、そのターゲットは自社サービスや商品のどんなところに興味があって問い合わせてくるのか? をよくお考えください。
たとえば、オフィスで使えるマッサージグッズの販売店のHPで、目的はグッズの販売および問い合わせだとします。ターゲットはデスクワークと仕事のストレスで、体が凝り固まっているビジネスパーソン。販売店の意向としては、男性ビジネスパーソンに商品を購入してもらいたいので、男性ウケするHPにしたいとのこと。男性が気に入りそうなグッズも多い。
こういうふうに材料は揃っています。これらの材料(情報)を活かして、おいしい料理(男性ビジネスパーソンが興味を示すページ)を作るのが編集です。
料理のやり方はいろいろあります。たとえば、マッサージグッズを使うことで、仕事効率が上がり、アフター5を良好なコンディションで過ごせ、毎日が充実することを前面に出すという方向性。その見せ方(ストーリーの展開、写真の配置、コピーの方向性)は無数にあります。
それにこんな方向性も考えられます。商品を直接訴求するのではなく、男性ビジネスパーソン向けに手軽にできる「デスク周りでの体操」や「眼精疲労回復のツボ」などの情報を前面に出し、関連商品としてマッサージグッズを紹介する。この見せ方も無数にあります。
思惑やいろんな情報に基づいて、ページや紙誌面の「方向性」と「見せ方」を考えるのが編集です。編集と文筆は別物ですが、多くの方は文筆の一部と捉えたり、編集をおろそかにしたり(ときには無視したり)、編集を重要視しません。しかし編集のやり方次第で文字媒体の威力・影響力・効果はまったく違って来ます。
文字媒体のおける編集の重要性、そして編集という概念を無視して(無いままに)、プロのライターに文章作成を依頼しても、その文章は活かされないということをご理解いただければうれしいです。