ライターとして、押し売りしていませんか?
以前にブログでライターは国語の先生とは違うと書いたのですが、一般的な認識としてライターは語彙力が豊富というイメージはあると思います。もちろん、語彙力が豊富な人もいれば、そうでない人もいます。語彙力が豊富だからと言って、優れたライターとは限りませんが、語彙力があるに越したことはありません。
先日、自営業をしている友人からメール文についての相談を電話で受けました。厚意でしたことに対して謝礼をすると得意先から言われたそうですが、仕事でしたつもりはないので謝礼(現金)を受け取るつもりはないとのこと。その気持ちを伝えるための表現として(お金を頂くのは)「心苦しい」「申し訳ない」と書こうとしたのですが、しっくりこないらしく、ライターとして活動する私に相談の電話をかけてきたのです。
正直私は語彙力があるとは言えません。「心苦しい」や「申し訳ない」の彼の心情を表す別表現を頭の中で探しましたが、即答できません。だからという訳ではありませんが、「心苦しい」「申し訳ない」などという表現に落とし込むのではなく、違うアプローチでお金を受け取りたくない意思を伝える展開を思いつくままに電話口で提案しました。我ながらライター的な発想だと思いました。
しかし彼の言葉のトーンから「そんな助言は求めていない」ということがすぐに分かりました。彼としては、自分なりのメール文が完成しつつあり、「心苦しい」「申し訳ない」に代わる表現を求めている。パズルの最後の1ピースを探すつもりで私に電話をかけてきたのです。そう空気を読んだ私は、押し付けがましい態度を反省し、上記に代わる表現が思いついたら連絡すると言って電話を一旦切りました。
「心苦しい」「申し訳ない」は抽象的すぎて、彼にとっては自分の気持ちを正確に表すものではないと同時に、月並みな表現をしたくなかった。というのもメールをする相手は博識ある人物らしいのです。状況を踏まえ、彼の心情を洞察しながらスマホで探していると、彼が求めているだろう表現が目に飛び込んで来ました。
「『気がとがめる』と表現するのはどうだろう?」と電話で伝えると、「それや、それ‼ しっくりくる」彼の声が弾みました。
依頼者のイメージを理解し文章化する
ライターをしていると、いろんなタイプの依頼者とやり取りをします。相手が編集者や広告ディレクターなどでない一般企業の場合、読者を無視した、ピントのズレた指示や指摘を受けることも少なくありません。それに対して、プロの書き手としての定石を相手が理解できるように説明して納得してもらえればいいのですが、それでも相手が自分の意見を曲げないのであれば、無知だと決めつけず、相手も何らかの強い意図を持ってのことと考え、相手の気持ちを尊重し相手が望む(方向性の)原稿を書く姿勢が大切です。
相手(依頼者)の要望を「ピント外れ」と無視して、自分(ライター)の意見を押し付けた瞬間、依頼者は「やりにくい人だ」と感じ、ライターにとってはクライアントを一つ無くすことになります。反対に依頼者の要望に耳を傾け、イメージ通りの原稿に仕上げてくれる人は、依頼者にとって心強い存在です。依頼者にとっていいライターとは、イメージを共有でき、それを文章化してくれる人ではないでしょうか。
【関連ブログ】
ライターの役割は文章をうまく書くことではなく、依頼者の要望を満たす文章を考え出すこと
https://www.writer.co.jp/writer_no_yakuwari/
ライターが書く文章は、国語ではなく美術だ
https://www.writer.co.jp/kokugobijutu/
【ライターのコーディネート】
☆↓ ライターを探している担当者さま
https://www.writer.co.jp/writer-coordination/
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