ライターにできて、ChatGPTにできないこと
コロナ禍以降の2020年より毎年、新年度に自社サイトの「代表挨拶」を変更しています。その年の4月現在の社会情勢に触れながら自社の姿勢を述べているのですが、一年後には時代錯誤な内容になっています。毎年4月時点のホットな話題にスポットを当てて書くので毎年更新を強いられるのですが、一年に一度、挨拶文を考えるのは自社サービスを振り返るいい機会で、気持ちも一新するので「次年度は何を書こうか?」楽しみながら取り組んでいます。
2023年4月現在ライターのみならず多くの人が注目する話題といえば、「ChatGPT」ではないでしょうか。ライターにとっては仕事を奪うかも知れないといわれる“黒船”です。この黒船を主題に400字余りの挨拶文を作成しました。内容を吟味し、推敲を重ねて自分なりに満足のいくものになりました。
その挨拶文をChatGPTでブラッシュアップできるか、試してみました。
指示どおり書く=指示がないと書かない
写真にあるのが、現在公開している代表挨拶ページなのですが、この文章をChatGPTに指示を出してリライト(添削)してもらいました。「編集者目線で」「コピーライター目線で」「宣伝広報のプロ目線で」とプロの書き手目線でリライトを指示したほか、「問い合わせを増やすように」「ライターに依頼しないと損すると思わせるように」と具体的な成果を促す指示、そして「日本語として完璧に」と合計6パターンのリライトをChatGPTにしてもらいました。
結論から言うと、原文の要素を使って構成を変えるような大きなリライトは皆無で、部分的に表現を変えたり、補足したりする程度で目を見張るものはありませんでした。それで良くなるのなら採用したいところですが、意味やニュアンスが変わってしまったり、大げさであからさまな表現になったり、こちらの意図が崩れて正直話になりませんでした。
私の指示の出し方が悪いと言えばそれまでなのですが、仮に指示の出し方に工夫を重ねた末に納得のいく文章になったとします。しかしそれは原文のテーマ、展開、落としどころなどの要素を活かしたリライトに過ぎず、原文が違っていればもっと優れた、集客力が期待できるものになる可能性もあります。そう考えると原文が最も大事になってきます。ChatGPTに原文を書いてもらうことはできますが、ChatGPTが自発的に文章を書く訳ではないので、指示は人間がしないといけません。指示いかんで文章の良し悪しが決まるので、指示自体にクリエティブ的発想が求められます。
求められるのは人間としての想像力
ライターに依頼する編集者やディレクターは、記事やコピーの意図と方向性をある程度ライターに示しますが、何を書き、どう展開するかはライターに委ねられます。これこそがプロの執筆の奥義で、依頼者はここに期待します。ChatGPTも指示の出し方いかんで、いろんな内容、いろんな展開、落としどころの文章を提案してくれますが、上記したようにこの指示(内容)を考え、示すのは人間です。
ライターからChatGPTに乗り換える人が増えるとの報道を耳にしますが、それは編集者やディレクターなど、これまでライター依頼者だった人がChatGPTを使って文章作成することを意味します。しかしこれはこれで骨の折れるクリエティブな業務で、片手間にできるものではありません。
以前のブログ記事で、「どう書くかより何を書くかが大事」というテーマで書きました。原作の小説や漫画を、映画化する際の脚本はまさに「原作のどの箇所をクローズアップするか」で作品の出来不出来が決まります。インタビュー取材はじめ、ライターが手がける様々な記事も、取材で得た情報の中から、どの情報を選び、その情報をどう使用するかで、記事の印象や読者の共感度は大きく異なってきます。
ライティング案件にもよりますが、どう書くという前に何を書くが大事であることを今一度ライターさんには肝に銘じていただき、ライター依頼者そして世間の人々にはChatGPTにライターの代わりは担えないことをご理解いただけると幸いです。
と言いつつも、AIの進歩は目覚ましく、ライターと同じ思考で執筆できるようになる日も近いかも知れません。「ライターと同じ思考で執筆できる」とは、すなわち「人間と同じ思考ができる」ということ。そうなれば全職業・全人類に深く関係してきて、ライター云々というレベルの話ではなくなります。
AIがめざしているのが人間的な思考であれば、現在のライターに求められるのは、人間としての想像力を駆使した執筆ではないでしょうか。
【関連ブログ】
ChatGPT出現でライター業はどうなる?
https://www.writer.co.jp/chatgpt/
AIライターに取材してもらいたいですか?
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☆↓ ライターを探している担当者さま
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