ライターvsビジネスパーソン
国語が苦手な私がライターになったのは、文章を書くことが好きな訳ではなく、不特定多数に何かを伝え、その反応を見るのが好きだったからです。
幼稚園の頃から私は人を笑わせるのが好きでした。表情やアクションではなく、話の内容で笑わせたかったので、子どもなりにいろいろ計算していたのだと思います。
中学生になると、話に枝葉をつけるようになり、とにかくウケを狙って話を盛ったり、布石を創作したりしていました。その延長線上でシナリオライターになりたいという欲求が出て来たのだと考えます。
将来をそんな安易に決めたので、信念もあったもんじゃありません。シナリオライターになる夢を諦め、一時は一般の会社で営業の仕事をするのですが、ライターという名のつく仕事がしたく、運よく雑誌ライターの仕事を得て、その後、ライターをコーディネートする現在の会社を興すことになります。
私にとって、ライターとは文章を書く人ではなく、面白く感動的に伝える人というイメージが強いです。
2017年10月の現在、WEB媒体を中心に多くの人が文章を書き、不特定多数の人々に何かしらを伝えています。まさに我が国は、“1億3000万総ライター時代”と表現しても言い過ぎではないでしょう。
ライター養成講座のチラシも、近ごろではライターという職業を目指す人に対してではなく、ビジネスパーソンに対して一つのスキルとして訴求する動きがあります。
しかし、ビジネスパーソンがライティングスキルを身につけたからと言って、ライターという職業が無くなる訳では当然ありません。これまで軽視されて来た、あらゆる情報発信(伝達)媒体の(編集を含めた)ライティングの重要性を世間が認識し始めた証なのだと捉えます。ビジネスパーソンのライティングは、あくまでも一ビジネススキルで、専門性のある内容や、重要な記事や広告コピーに関してはこれまで同様、これまで以上にライティングの専門家であるライターに依頼が来るのではと考えます。
ビジネスパーソンがライティングスキルを身につければ、ライティングの専門家であるライターに求めるレベルはぐんと上がります。文章を無難にまとめるだけのライターでは、その存在価値はありません。
どうすればライターとして他と差別化されるようになるか、プロとしてアピールできるかを考え、日々ライティングスキルを磨き続けないと、いまは良くても、将来的に割の合わない仕事しか回って来なくなるでしょう。